車載コマースがコネクテッドカー向けに新しく登場し、多くの自動車メーカーやシステムサプライヤー、Eコマース企業がソリューションに取り組んでいます。デバイスとして、スマートフォンではなく車両を使って、決済を行う機能をドライバーに提供する車載コマースが話題になっています。スターバックスやダンキンドーナツのような消費者中心の企業がありますし、料金徴収、燃料、EV充電、そしてもちろん駐車場などの車両を中心としてサービスがあります。Parkopediaでは、駐車場を中心とした車両中心のサービスに焦点を当てています。というのも、これは車を運転するドライバーが最も必要としているサービスだからです。自動車メーカーが自社の車両に車載コマース決済を徹底的に連携することで生み出せる価値はたくさんあります、それはサードパーティの事業者がApple CarPlayやAndroid Autoと提携してもできないことでしょう。
Parkopediaは、駐車場のための車載コマースソリューションを提供する大手パーキングデータサプライヤーです。私たちが明確に把握しているのは、駐車場のデータが現在は車を中心とした車載コマースに必要とされていますが、将来的には自動化された決済にとって不可欠な重要性を持つようになるということです。
駐車場向け車載コマース取引には、カバー範囲、周辺情報、消費者向けの選択が必要です。駐車場向け車載コマース取引向けで最も一般的な使用例は、駐車場に到着する前に、ドライバーが駐車場の使用料金を事前に支払う駐車場の「予約」と、ドライバーが既に駐車したスペースに対して支払いを行う「オンデマンド決済」です。
駐車場の予約
車内での使用例では、ドライバーは屋内駐車場内の駐車スペースを事前に予約するかどうかを判断するために、路上駐車場と路外駐車場で利用可能な駐車の全体像を把握したいと考えています。ドライバーエクスペリエンスを予約可能な駐車場に限定することには高いリスクが伴います。予約可能な駐車場の数はここ数年で増加しており、ニューヨーク、シカゴ、ワシントンDCなどの大都市では、路外駐車場の3分の2にまで達しています。しかし、予約可能な駐車場の総数は、米国市場の路外駐車場の総数の15%にとどまっており、まったくカバーされていない地域が多いのが現状です。現在米国には、少なくとも1カ所の予約可能な駐車場があるのは、上位1,000都市ののうち350都市だけです。ヨーロッパでのカバー率はさらに悪い状態で、駐車場の予約に関する統計がある国はほんの一握りです。予約可能な駐車場がない国や都市では、ドライバーは駐車場を見つけるために他のアプリケーションに頼らなければならないため、このことが車載システムを使用しない方向にさらに拍車をかける要因になっています。
包括的な駐車場情報を組み込むことは、車内のエクスペリエンスを向上させる一つの重要な要因です。しかし、以下のような駐車に伴う周辺情報も非常に重要です。この駐車スペースに自分の車が入るだろうか。保有しているクレジットカードで支払いが可能だろうか。夕食後もまだ開いているだろうか。ドライバーに最適な駐車場の選択肢を提供するためには、営業時間、高さ制限、アメニティなどの詳細な情報を備えた路上駐車場と路外駐車場を完全に網羅することが必要です。
最後に、予約可能な駐車場とはスペースが予約可能かどうかの情報を提供するだけであり、駐車場全体の空き状況とは大きく異なります。予約可能なスペースが残っていない場合でも、そこに駐車することは可能かもしれませんし、逆に駐車場の予約をした場合でも完全に満車になった駐車場では駐車スペースは保証されません。車載システムによって、目的地から5ブロック離れた場所に誘導され、より高額の駐車料金を前払いさせられた場合に、目的地のすぐそばにもっと安い屋内駐車場があったことにドライバーが気が付いたら、自動車メーカーは消費者に強い不満を抱かせるリスクを冒すことになります。ニューヨークなどの大都市でも、屋内駐車場の35%が予約不可能で、駐車料金がもっと安い場合が多いので、これはそう突飛なシナリオではありません。したがって、ドライバーの選択肢を予約可能な駐車場に限定することは裏目に出る可能性があり、そのサービスに対する消費者の信頼を損なう可能性が高いのです。
オンデマンド決済
オンデマンド決済は、ユーザーが最良のエクスペリエンスを得るためには、車載コマース決済に非常に精度の高い駐車場データが必要であることを示すもう一つの事例になっています。路上駐車が有料か、どの決済事業者が関連しているか、使用料金がどれぐらいでどんな制限があるかを判断するために、車載システムには道路セグメントおよびその通りの適切な路側ごとに分解された正確なデータが必要です。スマートフォン利用の場合は有料ゾーン内のどこかで利用者の位置を特定するだけで十分なため、モバイルパーキング決済事業者は通常上記のようなデータを持ち合わせていません。特定の道路セグメントが有料かどうか、あるいは車両がどのゾーンに駐車されているかなどの詳細は、ドライバーの責任の範囲内となります。これは、自動化された車内利用の場合では大きく異なります。ドライバーは、自分の手を煩わすことなく、完璧に動作するサービスを期待しており、このためには包括的で正確かつ精度の高い駐車データが必要となります。
駐車場予約の場合と同様に、オンデマンド決済が可能な場所は、駐車場の全体数のほんの一部に過ぎません。有料の路上駐車場のほとんどは、1つまたは複数のパーキング決済事業者によってカバーされているかもしれませんが、無料の路上駐車場の場所や路外駐車場のすべては、そのようなシステムには組み込まれていません。
駐車場のお薦め情報
ドライバーは駐車場の選択肢に関して包括的な概要を知りたいと思っていますが、多すぎる情報は不要だと思っています。他の電子商決済領域と同様に、お薦め情報があればこの問題を解決するのに役立ちます。これは、ユーザーが画面上の駐車場のリストをスクロールするのに苦労するような車内で起き得るシナリオに特に関連しています。効果的で信頼できるお勧め情報の提供には、精度が高く包括的な駐車場データに関する完全なデータセットが必要です。Parkopediaは、駐車場の場所ごとに80以上のデータ属性を収集し、その周辺状況の分析をすることにより、ドライバーにとって高度にパーソナライズされたお薦め情報の提供を可能にします。
まとめ
シームレスな自動化された車載コマース決済がより多くなればなるほど、ドライバーと自動車メーカーにとってのメリットは大きくなります。将来の車載システムには、高度に自動化された駐車場に関する決済や、料金徴収、EV充電、その他の車両を中心としたサービスの支払いをサポートするために、包括的かつ正確で精度の高い情報が必要です。良質なデータは、優れたユーザーエクスペリエンスを実現するために必要な前提条件です。そして、自動車メーカーには、質の低いユーザーエクスペリエンスを看過する余裕はありません。